とうとう帰宅する日です。



高速の渋滞を避けるため、電車で帰ることにしました。



茅野駅に向かう途中、両親と一緒に諏訪大社の下社秋宮へ立ち寄りました。



御柱祭で奉納された倒木を見ていると、「お宅たち、よそから来なすったね」と、ひとりのおじさんが近づいてきました。
地元の人らしいおじさんは、私たちの歩みに合わせて、歴代の御柱の樹齢や境内の中にある植物の説明をしてくれました。お宮に飾られたしめ縄は御柱を引いた引き綱とか。ものすごく太くて大きくて、お祭りの度に地域で長さを決めて縄を編むそうです。



境内の中にある白松は、三葉の松とも呼ばれ、白い肌をしています(リンク先の写真よりもっと白い肌をしていました)。めずらしくて縁起のよいものなので、観光客が樹皮を直接はがして持っていってしまうそうです。おじさんは言いました。「自然に落ちたものを拾ってな。自然に落ちたものなら神さまがくださったものだから大丈夫」。



ひと通り見終わってゆっくり歩いていたそのとき、事件は起きました。おじさんが突然、倒れてしまったのです。



父がおじさんを抱きかかえるように起こしました。母が目の前にあった売店の巫女さんに救急車を呼びかけました。夫と私はおじさんの様子をうかがっていました。意識はあるようですが、おじさんの手が上下に大きく揺れています。



巫女さんからの連絡を受けて、3人の若い神主さんが急ぎ足でやってきました。おじさんはきょとんとして一点を見つめていました。記憶が混濁しているようです。あんたたちは誰だ?というような顔をして私たちを見ています。やがて震えが治まると無言で立ち上がり、振り向きもせずに歩いて去ってしまいました。



神主さんたちの話によると、おじさんは毎日のようにここへ来てお参りしたり、参拝客のガイドを買って出ているそうです。そして、同じように倒れたことが何回もあったようです。でも誰もおじさんの名前や住処を知りません。夫がポツリと言いました。「不思議な時間だったなあ」。毎日この聖地を守るおじさんは、まるで神さまの代弁者のようでした。



スムーズに電車を乗りつき、帰宅しました。
ソーキチは「シャー」と怒って出迎えてくれました(^_^;)。
シッターさんが毎日、写真添付のメールで様子を知らせてくれたので、何も心配はしていませんでしたが、怒られるとさすがにショックです。
ソーキチはシッターさんに甘えまくっていたようです。猫じゃらしで遊ぶより甘えるのが先!という感じで、シッターさんの膝にゴロンと頭をつけたり抱かれたり。
飼い主は誰でもいいんかい!と叫びたくなるほどの甘えん坊ぶりだったようですが、元気がなくなるより全然マシなので、叫ぶのは我慢します。



こんな感じでGWは終わりました。