桜の花の咲くころに。。。

桜が咲く時期に生まれました。愛猫のこと、旅行記、その他いろいろ記録。 ※別のブログから引っ越ししたので、リンク先が正確でない過去記事がありますがご了承ください。

カテゴリ: 旅:道東未知との遭遇

2007/12/31(月) 大晦日の夜

今日の宿に関してはホームページのリンクを控えさせていただきます。なぜなら、私たちにとってはあまりにも味気ない宿だったので、悪口をいっぱい書いちゃいそうだからです(ごめんなさい!)



観光地でもある川湯には、立派なホテルや旅館がたくさん並んでいます。つまりそれだけ平均的な宿泊料も高いということなのです。夏の川湯ならキャンプで安く済ませることができるのですが、この時期のキャンプはさすがに無謀。だから夫は、一生懸命に安い宿を探し、ここを見つけました。



夫はもとより私も、設備の整った高級なホテルに泊まりたいという欲望はあまりありません。値段や設備より、その宿オリジナルの味を楽しみたい。しかしこの旅館はただ安いだけで、味も素っ気もまるでなし!



Rimg1004_3 ←コインを入れるタイプのテレビ。今どき珍しい。



 それでもこの宿は湯治場として高齢者に人気のようです。安いから長期滞在者には利用しやすいんだろうなと思います。



 しかしこの宿に2連泊なんて、なんとなく憂うつな気持ちになってきました・・・。夫も(自分で選んだとはいえ)同じことを感じていたらしく、少々暗い表情。



ともかく私は連日の寝不足がかなり辛くなっていたので、ひと眠りすることにしました。その間、夫はなにやらごそごそ。



目がさめると夕食が運ばれていました。お椀はまるで入院患者に出されるようなプラスチックの容器。大晦日なので鯛とおそばがお膳にのっていましたが、夫の旅のメモには、「食事はうまくなかった」と書かれています。同感。



食後は夜の川湯を散歩しました。宿の近くで、ダイヤモンドダストのためのライトアップをしています。



Rimg1005 ダイヤモンドダストとは、寒い寒い冬に日に、空気中に氷の結晶がキラキラと浮かんで見える現象です。川湯では、温泉の川を利用して人工的にダイヤモンドダストを作り出しているのです。ただしこのイベントのスタートは1月下旬。今回、果たして自然のダイヤモンドダストを見ることができるのか?



近所の酒屋さんへ寄ったついでに、店長らしきおじさんにダイヤモンドダストについて聞いてみました。気温マイナス10℃~20℃、晴天、無風が観察可能な条件。先週はマイナス20℃になった日があったらしいです。



道路わきの電光掲示板によると、ただいまの気温マイナス7.5℃。明朝にはマイナス10℃いくかもしれません!



希望を胸に宿へ戻りました。私が寝ている間に夫が100円玉をたくさん用意してくれていたので、紅白を見ながらのんびり。



夫が途中で寝てしまったので、ひとりで「ゆく年くる年」を見ながらカウントダウンを待ちました。



年が明けると携帯電話に手を伸ばし、夫と私、それぞれの実家に電話をしました。北国から新年のご挨拶です。しかしなかなかつながりません。根気よくダイヤルし続け、やっと話すことができました。

2008年の幕開けです。旅もそろそろ終わりに近づいてきました。


2007/12/31(月) 昼~午後



弟子屈のコタン(古丹)に到着しました。



コタンには思い出がたくさんあります。屈斜路湖畔にテントを張ったときは、ここの共同浴場やトイレを利用させてもらいました。夫のバックパックの紐が切れたときは、ここの芝生の上に座って縫い合わせ、かたわらで夫は日光浴を楽しんでいました。



アイヌ民族資料館も、丸木舟のライブも見学しました。何度も来ているコタンですが、実はまだ未経験のものがひとつだけ。



屈斜路湖畔の露天風呂です。



Rimg0997 ←岩をはさんで左側が女湯。



↓右側が男湯。Rimg0998





 冬の北海道で水着なんて持ってきていません。でも誰もいないし、今回は思い切って入ってみることにしました!


 



Rimg0999 目の前に屈斜路湖。白鳥さんが私たちを見ています。彼らなら許してやろう(笑)。



 Rimg1000_2 この開放感、たまりません。人間は自然の一部なのだとしみじみ。



ところが途中で男湯に男性が。急いで岩場に隠れ、声と顔だけで会話に入れてもらいました。



 釧路で漁師をやっているおじさんは毎年、お正月を奥さんと一緒に川湯で過ごしているそうです。「年に一回ぐらいは、かあちゃんにラクさせてやらないと」。この男気、さすが海の男!



ちょっとぬるめのお湯だったけど、たっぷり時間をかけて浸かったので身体はポカポカ。おじさんと白鳥さんに別れを告げ、お昼を食べに行くことにします。



川湯でお昼といったらここしかないでしょう。毎度お馴染み、川湯温泉駅のオーチャードグラスです。



Rimg1002 今回はしっかり写真を撮ってきました。これこれ、このビーフシチュー!ハンバーグとかハヤシライスとか、ほかのメニューも試してみたいと思いつつ、けっきょくやっぱりビーフシチュー。ここへ来たら最低限これを食べないと後悔しそうなのです。味は相変らずサイコ~、日本一!。



夫がレジで精算しているとき、厨房にいたマスターがカウンターに出てきました。実はこの喫茶店、捜索中の友人の行きつけでもあるのです。さっそくマスターに友人の行方を聞いてみたところ・・・



「あ~彼ね。鶴居村に引っ越したんですよ」。



初耳!



マスターも新しい連絡先は知りませんでした。でも共通の友人の話しだと、新しい土地で元気でやっているそうです。マスターも彼からの連絡を待っているみたいでした。



私たちを気の毒に思ったのか、マスターが別の心当たりを教えてくれました。友人の身内の電話番号です。ラッキーなことに、私たちも電話番号の主に会ったことがあります!



車に戻ってさっそく番号を押しました。しかし応えは再び「使われておりません」。



陽が暮れかけてきました。今日はもうあきらめて、静かに大晦日を過ごしたほうが良さそうです。


2007/12/31(月) 午前



Rimg0994 今日は朝の8時に朝食。食堂の窓のエサ台にアカゲラとミヤマカケスが来ていました。



雪国の天気は予想不可能なので、今日は予備として予定のない一日です。



・・・のはずだったのですが、ここへ来て予定ができてしまいました。なぜなら友人を捜索しなければならなくなったからです。



前回の冬の北海道旅行のとき、この友人を訪ねて無事再会を果たしました。そして今回もぜひ会いたくて、出発前に彼へ連絡を取ろうとしました。



ところが、自宅・携帯とも「使われておりません」のメッセージが!



もともと彼は電話嫌いなところや放浪癖があるので、新しいところへ引っ越したまま音信不通になっているのでしょう(そういうダンナもあまり連絡マメではないのでお互いさまなのですが)。



実は昨日、養老牛温泉へ向かう途中でちょっと足を伸ばして川湯へ立ち寄り、友人の住むアパートを訪ねてみたのです。しかしそこにはすでに見知らぬ人が住んでいました。



さらに足を伸ばして、彼の奥さんが勤めているおみやげ屋さんに行ってみましたが、奥さんはすでにそこを辞めて、旦那さんと地方を回っている、と教えてもらいました。



友人は北海道ウタリ協会のメンバーなので、アイヌの文化振興活動をメインにあちこち回っているのかもしれません。



昨日の手がかりはここで途切れてしまったため、今日はさらに踏み込んだ捜索をすることに決定。せっかく北海道に来たからには、やっぱり会いたいのです。まずは彼の住んでいた川湯へ向けて出発です。どちらにしても今日の宿は川湯にとってあります。それにしても大晦日に人の捜索なんて、最初で最後の経験かもしれない(笑)。



途中で弟子屈のホームセンターに立ち寄りました。壊れたスノーシューを修理するためのロープが目的。ところが夫はロープのほかに、なぜかワカサギ用の釣竿を購入。今回のワカサギ釣りはもう終わったよ( 一一)。はまってしまった?



ホームセンターの駐車場に車を止めたまま、再び友人の捜索開始です。ウタリ協会がきっと手がかりを知っている。携帯のインターネットで本部の電話番号を調べてかけてみましたが、案の定お休み。大晦日ですから当たり前ですよね。



今度はウタリ協会の支部を調べました。彼の所属する支部の電話番号は人違い。間違い電話を丁寧に詫び、次なる手がかりにかけてみました。詳しい人が不在。管理人さんが申し訳なさそうに謝ってくれました。



さらに別の支部に電話をすると、今度は優しそうなおばあさんが出ました。「○○さんをご存知ですか?」と聞くと、知っているという答えが返ってきたのです。そして彼は今、実家に住んでいるのではないかという情報が!



電話を切った夫が地図をめくります。実は数年前の夏の北海道旅行の際、私たちは彼のお母さんが住む実家へお邪魔したことがあるのです。おばあさんが教えてくれた実家の地名と、夫が記憶していた地名が一致しました。



年末年始だから、お母さんのところへ帰っている公算大。



大きな手がかりを得た私たちは、とりあえずひと安心して、再び車を走らせました。


2007/12/30(日) 夜中



「例のもの、来てますよ!」



番頭さんの言葉に、私たちはお礼もそこそこに部屋へ舞い戻り、部屋の明かりを消して窓にへばりつきました。そして窓越しに見たものは・・・



Rimg0957_2 拡大しても、この写真じゃよくわからないって??
 そうだよね~。撮影、難しかったんですよ・・・。



 では次の写真では? なんとなく、縞模様が見えませんか?



Rimg0978





 













実はここに写っているのは、






シマフクロウなのです!





ところでシマフクロウとは・・・



日本では北海道だけに生息する最大のフクロウ。アイヌからはコタンクルカムイ(村の守り神)と呼ばRimg0971れています。全長66~70センチ、翼を広げたときの長さはなんと約180センチ



昔は全道に生息していましたが、現在では道央・道東を中心に120羽程度しか生息していません。シマフクロウは広葉樹の樹洞に巣を作るのですが、伐採のために大きな木がなくなって生息できなくなっているのです。国の天然記念物、国内希少生物動植物種、レッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されています。地元の人でもその姿を拝むことは難しいとか。



ここは中標津にある養老牛温泉・旅館藤やさん。ここの裏庭の池にはなんと、シマフクロウが魚を獲りに来るのです!



Rimg0933 シマフクロウが来る裏庭。私たちの泊まった部屋からよく見えました。シマフクロウは、横たわった丸太の上に止まって、丸太の手前にある池で漁をします。



シマフクロウは野生ですから、毎日やって来るわけではありません。ラッキーだったのは、前日の中標津はかなり雪が降って(積雪40センチ)、シマフクロウが姿を見せなかったこと。「お腹をすかせているから、今日は来るかもしれませんよ」。チェックインのときにこの言葉を聞いておおいに期待し、そして期待以上の結果が。確認できただけで、なんと5回もやってきたのです!



1回目・・・7時ごろ
2回目・・・9時半ごろ
3回目・・・12時ごろ
4回目・・・1時ごろ 
5回目・・・3時ごろ・・・つがいでやってきた!



長いときは1時間以上滞在していました。5回目は爆睡のなか、フクロウ来襲を知らせるフロントからの内線で目がさめました(頼んでおくと電話で知らせてくれるのです。さらに裏庭にはカメラが仕掛けてあって、窓から常に監視していなくても、部屋のテレビモニターで様子をチェックすることができるようになっています)。 



つがいでやってきたときは、ボウッ、ボウッという呼び合う声も聞くことができました(夫はこの声を、数年前の夏の釧路湿原付近で聞いたことがあるそうです。私は気がつかなかったのですが・・・)



そして最後のほうは窓を開けての撮影に成功。     



Rimg0971_2 ←池のなかを覗いているので、背中しか見えません。



 左側にくちばしのように見えるオレンジっぽいのは、丸太の模様です。


Rimg0972
 ←またまた背中。でも実際には何度か目が合いました。そのたびにヒヤ^^;。



Rimg0958 ←翼を広げて魚をキャッチ!でもこれがなかなか難しいようで、何度もトライしていました。見事にキャッチした姿もこの目で見ることができました。



そして、飛び立つ瞬間はあっという間。





シマフクロウを脅かさないために、フラッシュ撮影は禁止されているので、なかなか撮影は難しいですね。隣の部屋の泊り客もかなり熱心に写真を撮っていたようです。飛び立ったシマフクロウを追いかけて旅館を飛び出したお客さんもいたみたいです。



朝方のシマフクロウはいつまでも池のそばでじっとしていました。昨夜の寝不足も手伝って、私はとうとうお布団へ。窓を開けたままの撮影で冷え切った夫は、あきらめて大浴場へ直行。



では、昼間のシマフクロウの姿をこちらでご覧ください(藤やさんのホームページより。雪のない裏庭はこんな風になっているのですね)。
http://www.aurens.or.jp/~fujiya/fukurou.html



ちなみに現在、シマフクロウの種を保存増殖するために、このような巣箱設置も行なわれているようです。



お酒が入るとすぐ眠ってしまうそこそっこ亭主は、夜通しのシマフクロウ観察のために、夕食のビール断ちを決行しました(こういうお客さん、実は多いそうです)。



2回目に1時間ほどじっくり観察できたあと、やっと自販機へ。



Rimg0932 冬の北海道といったらやっぱりこのビールでしょう。
 二人で初シマフクロウに乾杯!







 北海道から帰った今でも、藤やさんのホームページで裏庭のカメラをチェックして思い出しています。 シマフクロウはもとより、番頭さんはじめ、食堂のお姉さん、スタッフの皆さんがとても親切でした。えてしてこういう立派な旅館は、スタッフの対応も事務的になりがちなのですが、とてもあたたかな雰囲気のなか、気持ちよく宿泊できました。



またいつか絶対行きたい!今度はぜひ夏に訪ねてみたいなあ。


2007/12/30(日) 午後



冬の北海道は昼が短く、日が沈むと路面が凍ってドライブが難しくなりますから、早め早めに移動が鉄則!



ということで、ワカサギ釣りを楽しんだあとは、今日の宿へ向かいます。たくさんの朝食とワカサギでお腹は満足。宿の食事を堪能するためにも、今日は昼抜きです。何しろ今回は、夫婦旅行でで初めて旅館という高級な宿泊まるのですから!



・・・とその前に、夫はなにを思ったのか、天都山へ向かいます。道は大丈夫!?



案の定、上り坂は雪・雪・雪・・・。ひえ~怖いよおお。ゆっくりゆっくり走ってもらいます。



でもおかげでこんな景色が見れました。



Rimg0911 冬の北海道へ来たんだな~。



 やっとそんな実感が湧いた瞬間。



Rimg0913 前田真三さんのような写真は撮れるはずもなし・・・それでも夢中でシャッターを切っちゃいました。





さて、気を取り直して再び出発!今度こそ宿へ向かいます。



Rimg0917 車窓から見たオホーツク海。荒れてます。



 ひたすら国道を走るので雪はまったくありません。しかも道路はほぼ貸切。スイスイと順調な走りです。途中の峠の路面が心配でしたが、そこもしっかり除雪済み。でも周りの木々に雪が積もって、午後の陽射しが照り返してまぶしい。でもとてもきれい。



宿に近づいてきました。国道から道道に入ると除雪がありません。でも天都山への道に比べて平らだから全然平気。おまけにここでも道路はほぼ貸切状態です。



ツワモノ発見、アイスバーンの下り坂をMTBで降りてくる家族連れがいるではありませんか!(たぶんチャリダーの旅行者)。きっと自転車用のスパイクタイヤを履いているのですね。日が暮れかけて外は風が冷たいし、子どもは頬を真っ赤にして走っています。早く宿へ向かわないと暗くなって危ないよ。



無事に旅館へ到着。でも旅館の名前はまだナイショ。なぜって、今ここで名前を明かしてしまうと、この宿を選んだ理由がバレてしまうから!



お腹がすいてきましたが、夕食までまだ時間があります。先にお風呂をすませてしまいましょう。



お正月はどこもお客が少ないのでしょうか。女湯は私ひとりっきり。露天風呂を独り占めです。いい湯だな~~。



闇に白い雪が浮かびます。静まり返った漆黒がちょっと怖いくらい。夜空を見上げると星がまたたいています。明日はきっと晴れるでしょう。



せっかくの豪華な夕食、あまりにお腹がすきすぎて、写真を撮るのを忘れました。料理のおいしさはもちろん、この夕食で特筆すべきは、ビール大好きの夫が一滴も飲まなかったこと!実はこれには深~い理由が・・・・・。



食堂を出てロビーの売店をチェック。すると私たちの姿に気づいた番頭さんが、慌てた様子で声をかけてきました。



「例のもの、来てますよ!」



続きます。


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